第4回 前立腺ガンとはどんな病気?

 

今回からは,前立腺ガンの話しをします.前立腺ガンは,高齢者に多いガンです.米国では男性ガン患者で罹患率は1位,死亡率は肺ガンに次いで2位の悪性腫瘍です.日本では男性の悪性腫瘍による死亡の8位ですが年々増加傾向にあります.

では前立腺ガンに罹患した患者さんはどのような経緯をたどるのでしょうか.そのためには前立腺ガンが診断された時の病期(疾患の進行度)について知り,病期毎にガンがどのような影響を患者さんに及ぼすのか理解する必要があります.病期の分類方法はいくつもありますが,ここではA,B,C,Dと4つの段階に分類する方法で説明しましょう.病期Aは,潜在ガンともいわれ,前立腺肥大症の手術などでガンが偶然発見された場合です.浸潤や転移はなく,細胞の悪性度も低く,通常はガンによる症状は無く,定期的な診察だけでもほとんど進行しません.病期Bは,腫瘍マーカーなどから,ガンを疑って検査し,ガンが前立腺内にとどまっていることが診断された早期ガンの状態です.ガンに伴う症状はほとんどありません.適切な治療を施せばあまり余命を短くすることはありません.病期Cは,転移は無いものの,ガンが前立腺周囲に浸潤している状態です.排尿に関する症状を呈する方もいますが通常は無症状です.治療を行ってもやがてガンが進行し,死に至る場合もあります.しかし,人によって差がありますが,半数以上の方が5年以上生存します.病期Dはガンが,骨盤内のリンパ節や骨などに転移した進行ガンの状態です.骨転移に伴う疼痛が発見の契機となることもあります.治療に一旦は反応してもやがて骨転移などが悪化し,患者さんはやっかいな疼痛に悩まされます.治療に良く反応し長期生存される方もいますが,5年生存率は30%前後となります.

それでは前立腺ガンの診断はどうすればよいのでしょうか.熟練した泌尿器科医にとって進行した前立腺ガンの診断はそれほど難しいものではありません,しかし,病期AとかBのような早期ガンは直腸指診やエコー検査を駆使してもガンを見落とす場合があります.早期発見のための有力な武器はPSAと言う腫瘍マーカーです.正常値は4未満です.この値が4から10を示すと2割強の頻度で,早期前立腺ガンが発見されます.異常値だから必ずガンというわけではありませんが,値が高いほど,前立腺ガンの可能性,しかも進行ガンの可能性が高まります.血液検査ですので苦痛はありません.特に排尿障害などがなくても50才以上になったら健康診断やかかりつけ医で検査を依頼してみてください.泌尿器科受診は,異常値が出てからでも良いでしょう.