2002、東海道旅烏ツアー日記2

3月21日(木)愛知県犬山市 珈琲ふう NEW

今年は春の訪れが早い。このツアーに出る前日までは暖かい日が続いていた。
ところがツアーに出る日から雲行きが怪しくなり、この日は雨混じりの肌寒い日だった。
この日、四日市かどこかで釣り糸をたらそうと家を10時頃出て、
いつもの釣具屋「伊勢吉」(ここは餌が安い)で餌を仕入れ、
やる気満々で走っていたのだがどうも風も強く釣りはあきらめるしかないようであった。
西名阪から東名阪道で名古屋を抜け国道41号線に入りそのまま北上。
5時に入る予定が着いたのは3時過ぎであった。
犬山城で有名なこの町は初めての町だった。落ちついた町並みの中に所々古い町屋が点在していた。
「珈琲ふう」もその落ちついた町屋の一角にあった。
すぐに店主の小川さんが目に入った。「こんにちわ、お世話になります。」
小川さんとは2度目の対面である。昨年9月に名古屋の「源」でライブをやったときに来てくれて
「もしよかったら、うちの町でもやりませんか」と声をかけていただき、それならと電話をしてみたら
OKをいただき今日のライブの実現となったのである。
「珈琲ふう」はいままでいろんな人のライブを企画していた。
大塚まさじさん、豊田ゆうぞうさん、金森幸助さん等など。
その中に僕も加えていただいて光栄であった。
小川さん宅はもともと養鶏用の配合飼料を扱っていた老舗らしい。
その一角を喫茶店に改造していて、建物自体が持っている雰囲気を壊さないように作ってあり、いい感じだった。
「いぬやま町屋倶楽部」という会を作っていて、ライブはその一環らしい。
なんと市から助成金までいただいているみたいだ。
おいしい珈琲をいただきながらそんな話を聞いた。
今日のPA担当は息子さんの翔君。彼は名古屋のミュージックスクールにギターを習いにいっているらしい。
まだ買ったばかりだというのYAMAHAのシステムを二人でなんとかいい感じにしてくれた。
驚いたのは和紙のブラインドを上げるとその奥は座敷になっていて店だけだと15人くらいで一杯になるのが
その座敷席を解放すると30人以上は楽に入れそうである。
しかし、僕の場合はそのブラインドを上げるまでもなかったみたいだ。
昔、大阪のビックスバーグというブルースの店に出入りしていたおおくわさん?という方が僕の若い頃を知ってたらしく
この町屋倶楽部の企画に参加していて、それで僕のことを呼んでくれたみたいだ。
もちろん彼らはご夫婦できてくれた。ライブの方はそんなこんなで和気藹々にやることが出来た。
打ち上げもほとんどの人が残ってくれて楽しい時間を過ごすことができた。
奥さんに言わせると、息子さんの翔君には今までで一番しっくりと聞けたらしい。??

翌日は小川さんに近所を案内して貰い、もちろん犬山城にも行ったがなんとこの城は国宝であるにも関わらず
個人の持ち物だという。日本にもこんな人がいるのだなあとびっくりした。
お城までは小川さんの家から3分ほど。その周りには古いいい感じの町屋が点在していた。
この町屋を保存しようと小川さん達が中心になって立ち上がったらしい。
店のすぐ近所にはイベントもできる町屋倶楽部の集会所も完成間近で、そこも見学させてもらったが
木造でコンサートもできるように設計してあり、これからが楽しみである。
それから木曽川を渡り対岸の各務原市にいるギターのコレクターの家にも連れていって貰ったが
僕がいままで見たコレクターの中では最高の質と量だった。
たしか佐伯さんと言ったと思うが、100万円を越えるギターが数十本も並びうらやましいかぎりだった。
お昼前に小川さん達に別れを告げ、第二の目的である三河湾に向かった。えっもちろん釣り、釣り。

珈琲ふうの外観。シンプルな町屋だ。
ふうの小川さんご夫妻
こんな町屋がいたるところに残っている。
小川さん宅裏の枝垂れ桜。ちょうど満開だった。
最後に連れていってもらったギターコレクター、佐伯さん宅のすごいコレクション

3月23日(土)名古屋市 アート&ミュージックスペース源

前日夕方から三河湾の幡豆というところまで行き、釣り糸を垂れようとしたのだが
あいにくの雨でやる気も失せた。ここではだめと思い一色町というところまで移動。
埋め立て地のテトラで穴釣り。これが釣れないときには一番効果的な釣り方法だと思う。
翌日の午前中にやっとガシラが2匹。惨憺たる結果である。風も強く冷え切ってしまった。
釣りというものは釣れないときの労力と言ったら涙ぐましいものがある。
後で聞いた話だが三河湾はかなり汚染されていてあまり釣れないそうだ。
それよりも知多半島のほうがよかったらしい。来年は知多半島で釣ろう。

気を取り直して「源」に向かった。
源は名古屋市の千種区今池の繁華街から少しはずれたところにある。
昨年もやったのだが源だけのライブだったのでこのツアー日記に載せることができなかった。
3階建ての自宅の1階のリビングみたいな?スペースをライブやらギャラリーとして解放している。
前には駐車スペースもあり、ツアー中のミュージシャンにはありがたい。
オーナーの山下さんも実は釣り大好き人間。前述の話は着いてから山下さんに聞いた話。
ゆっくりと珈琲をいただきながら、この間ここでやった五つの赤い風船の青木まりこさんの話やらして
なんで彼女が僕を知っているのかとか話をした。彼女とは飲み友達だと答えた。
この日は川合ケン君というウクレレ弾きがオープニングアクトを努めてくれた。
さらにバイオリンの藤川君も加わってええムード。
僕の方もこの源の独特の家で演奏しているみたいな気持ちにさせられることもあって、
リラックスしてやったが、何かのはずみでリクエスト大会になり、ついに奥の手?まで出してしまった。
アドリブもこの日は冴えていたなあ。
最後は全員?で3曲ほど一緒にやったがいつものDr.兼松のピアニカも加わりほんといいムードだった。
やはりアロハオエにウクレレが加わるといい。
打ち上げは近所の飲み屋で。釣りの話やら音楽の話で盛り上がった。
またぜひ一緒にやろうとみんなで誓い合う?夜だった。
でもこんなに飲まない人達が多い打ち上げははじめてだった。
僕の倍々理論もみんな納得して帰ったみたいだ。
この日は山下さん宅に泊めていただき後は静かに眠るのだった。

川合君、藤井君のユニット
源の前で、山下さん

3月24日(日)静岡県島田市 BLUES' BAR

翌日、山下さんに別れを告げて名古屋を10時頃に出た。源からは東名まで解りやすい。
東名をひた走り、吉田インターで下車。そのまままっすぐに吉田港へ。
ああ、釣りキチは忙しい。地図で吉田港にしようか、大井川港にしようか迷ったのだが
これも後で聞いた話だが、みんな大井川港の方がいいと言っていた。残念。
その吉田港でメバルを釣ろうとしたのだが、反応は全然無し。
そこでまたテトラの穴釣り。ところが小さなハゼが食いついてきた。
これは面白いと思い。そちらに集中したら2時間ほどで20匹ほど釣れた。
やっとお土産ができた。

ブルースバーは島田市の駅前にぽつんとある。この町でやるのは2回目だ。
2階建てで上は去年やったエスニックバーのビッグムーンカフェ(大満月茶屋)。もちろん経営は同じトシさん。
でもこの日はどうしても断りきれない結婚式があるとかで僕が到着する寸前に行ってしまった。
今回は下の方が音がいいということでブルースバーになった。
落ちついたいい雰囲気のバーである。全体にシックな木造でグレイトフルデッドのポスターが飾られている。
上のカフェであずさちゃんの入れてくれた珈琲にほっとしながら例のお土産を渡した。
「後で天ぷらにでもしてください。」実は四国で食べたハゼの天ぷらの味が忘れられないのだ。
リハを簡単に済ましているとお客がぼちぼち入り初めて、このツアー初めての満席状態となった。
いままでゆったりとできていたのがいきなり力が入ってしまった。
初めのうちは力が入りすぎ。そしてここのお客さんはみんな若い。トシさんもなんとか駆けつけてくれて
去年来てくれたお客さんも来てくれ最後はいい盛り上がりで終われた。
しかしお客さんの雰囲気がまだ納得していないみたい。
もう2時間ほどもやったのにである。ありがたいことなのでもうワンステージやるはめになってしまった。
今度はカバー曲のオンパレード。みんな酔いが程良くなり始め、熱い島田の夜は更けゆくのであった。
終わってから上に上がりさらに酒宴は続く。
例の天ぷらをひとみちゃんが作ってくれてみんなでうまいうまいと言いながら食べたのは言うまでもない。

翌日すぐ近くにホテルを取ってくれていたので、チェックアウトをしてからまたビッグムーンカフェで
本格的な?日本の朝飯をあずさちゃんが作ってくれて大満足。
トシさんも眠たいだろうに来てくれてまた来年3月に来ることを約束した。
昨日来てくれていたお客さんの中に饅頭屋の娘がいて、その子が回転焼きの差し入れをしてくれた。
昨日「私の焼いた回転焼き必ず持ってくるから」と言っていたのを思い出した。
「なんていい子なんだ・・・」
すぐに珈琲でいただいた。昔僕は甘いものが苦手だった。しかし最近この甘いものが無性に食べたくなる時がある。
特に回転焼きはときどき車を止めて買うくらい好きなのだ。
暖かいお土産を懐に島田市を後にした。さあ、明日は休み。向かうはあの御前崎!!

ブルースバー&ビッグムーンカフェのスタッフ一同
翌朝、ビッグムーンカフェでマスターのトシさん

3月26日(火)静岡県浜松市 ポルカドットスリム

25日は終日御前崎で釣り。この日は風もなくいい天気で釣具屋で教えて貰った地図を頼りに御前崎に行ったのだが
道を通りすぎてしまって気がついたら灯台の麓に出てしまった。しかしこれもいい。
滅多に大きな灯台を見ることもない。周りは観光地になっていて大きなホテルがあった。
海岸沿いに戻ると見落としていた釣具屋があってそこを右に曲がると埋め立て地になっていてこの辺の釣りポイントらしく
大勢の釣り客がいた。「これこれこれでなくっちゃ」と独り言言いながらポイントを探す。
トイレもあり、言うことのない釣り場だ。でもみんなあんまり釣れてないみたいだ。
やはり穴釣りしか釣れないだろうと思い、最初からテトラの穴釣り。
ほとんどの人がキビレというチヌの一種を狙って釣っているみたいだった。いわしを狙っている人もいた。
そしてこのツアーで見たかった初めてのメバル君が食いついて来た。さすが御前崎。
でも後が続かず、ベラがぽつんぽつんと釣れるのみ。
しかし、このツアー初めてのいい天気で時間はすぐに過ぎていった。
近所のラーメン屋で晩飯。ラーメンに大、中、小と書いてあったので何気なく中を注文すると出てきたのは
大きなドンブリに一杯のラーメン。「おじさん、これが中ですか」と聞くと「中は1.5倍だ」という。
面白い店を見つけたと思った。味もなかなかいい。
夕方から雲行きが怪しくなり始め、夜釣りをしようと海岸に行ったのだがまた、強風と雨。
取りあえず竿を出してナマコを釣ったところでこらえきれなくなった。
夜釣りをしている人はそこそこいて、みんな短い竿にケミボタルという発光体を着けて釣っている。
「何が釣れるんですか」と聞くと「小さな声で伊勢海老」という答えが返ってきた。
この時期この辺では禁止されているらしいがみんな伊勢海老を狙っているという。
思わぬターゲットに驚いた。
翌日も天気は思わしくなく、結局昼までねばったが昨日のテトラは波が高く釣りにならない。
久しぶりの坊主で悔しい思いを胸に御前崎を後にした。

御前崎から浜松までは1時間とちょっと。遠州灘を左に見ながら快適ドライブだった。
ポルカドットスリムは浜松市役所の近所にある。
以前北海道で知り合った櫻井君がここの出身で、彼の企画でやってから今年で3回目だ。
マスターの後藤君が別の店を初めて忙しいらしく、今日はいない。
ライブは少しお客さんが少なかったが、前回一緒にやってくれた吉良君やギター好きの青年が来てくれて
いいライブだった。しかし面白かったのはここから。
吉良君の知り合いで蝦原さんという人がいて、この人がもともと板前さんだったらしい。
僕が吉良君にお土産の御前崎で釣れたメバルとベラを渡そうとしたら、「これみんなで食べません?」
ということになり、彼が料理をお店の厨房を借りてしだした。まずはナマコから。
ナマコの調理方法は知らなかった。塩もみをして慣れた手つきでさばいてゆく。
まず、出来上がったのがナマコの三杯酢。
さらにベラでカルパッチョ風サラダ。これがうまい。ベラがこんなにうまいとは思わなかった。
その場にいた全員がうまいを連発。お酒もすすみへべれけになった浜松の夜だった。

よく解らないでしょうが左がナマコの三杯酢、右がベラのカルパッチョ

3月27日(水)静岡県三ヶ日町 パラディソ

この日は前にも行った事のある、浜名湖の海釣り公園で釣りをしようと行ってみたが、
あいにくの強風と激しい雨で釣りどころではなかった。
公園の管理の人に聞くと午後からは晴れるとのことなので待ってみたら、とりあえず晴れた。
しかし強風は変わらず、竿を出すには出してみたが釣りにはならなかった。
なんせ体が飛ばされそうなくらいの強風だったのだ。
この時期浜名湖の入口には稚鮎が集まり、これもなかなか面白い釣りだったのだがあきらめるしかない。
三ヶ日に6時に待ち合わせの約束だったのでここからは30分もあれば行ける。
久しぶりに充分な昼寝をすることができた。

浜名湖畔を通り三ヶ日の町へ。以前に大阪で会ったことのある「ハゲ富安」さんが待っていてくれた。
今回のライブは彼の紹介で決まった。彼はこの辺ではちょっと知られたミュージシャンであり、
僕の知り合いも共通の人が多かった。別に豊橋で画材屋をやっている。
今日はハゲさんのユニットと一緒にやる予定だ。
夕暮れの浜名湖を少し行くと「パラディソ」はあった。
2階に上がると全面ガラス張りの店内の向こうに夕暮れの浜名湖の風景が広がり、素晴らしい景色だった。
「いいところですねえ」マスターの伊藤さんご夫妻に言うと、まだまだこれから手を加えて行きたいそうだ。
去年の11月からの営業らしいがPAも備え付けてあり、ほんといいところだった。
伊藤さんは名古屋で内装の仕事をしているらしく、これからこの店がどんなに変わってゆくか楽しみだ。
やがてハゲさんの相棒「井上」さんがやってきた。彼は以前にというか20数年も前、大阪でライブをやっていたらしい。
その大阪の友人が僕もよく知る人であり、きっとお互い会ったことがあるだろうと思った。
ハゲさん、井上さんのユニットは楽しくジャジーでエンターテイメント溢れるステージだった。
二人で15年以上もやっているらしい。息が合うはずだ。
でも彼らも僕の歌を聴くのは初めてだった。ロケーションも手伝ってリラックスしたライブだった。
最後にグッナイトアイリーンを3人でやった。来てくれた人達はみんな満足してくれたみたいだ。
打ち上げに伊藤さんの奥さん手製のモツドンブリ。いい夜だった。
そして今晩はハゲさんの家に泊めて貰ったのだが、店から15分くらいの高台にあり、
その夜は解らなかったのだが、朝起きてみると浜名湖が一望できる素晴らしいところに建っていたのだ。
次の日、テラスでのんびりさせてもらいお昼からなんとバーベキュー。
パラディソの伊藤さんご夫妻も来て、楽しい一日だった。この日は豊橋の「ハウスオブクレイジー」で
有山君と中野督夫さんのライブがあり、せっかくだからちょっとのぞいてみた。
「ありとく」というユニット名で3箇所ほどツアーするらしい。
でも僕は仕事もあるので帰ることにした。少し後ろ髪を引かれながら。
ハゲさんと井上さん
オーナーの伊藤さんご夫妻
泊めて貰ったハゲさんところの素晴らしいテラス。左が奥さん。
ハゲ富安さん。いい人でした。

ああでも今回のツアーは天気が悪すぎた。普通ミュージシャンに天気はあんまり関係ないのだが僕は大あり。
まあこんなに天気を気にするミュージシャンもいないだろうけど。
釣り人の事を英語で「アングラー」と言う。これから僕のことを「シンガーソングアングラー」と呼んでくれたまえ。