ことわざ質問箱 |  |
ことわざに関する皆様のご質問にお答えいたします。(単純に辞典をひけばわかるような質問はご遠慮ください。)
よくある質問については、FAQを用意していますので、最初にご覧ください。簡単に答えが出ない問題は、皆様とごいっしょに考えましょう。質問はe-mailでkotowaza★246.ne.jpへお寄せください。掲載した方には、記念品をお送りいたします。(★は@ に変えてください。迷惑メール防止のためです。)
質問1
おじさんが子どもを背負って川を渡っている上のイラストは、ことわざに関係があるのでしょうか? また、どなたが描いたのでしょうか?(東京 H)
答え
この絵は、「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」ということわざを表したものです。経験を積んだ者でも、時には経験の浅い者に教えられることがあるというたとえですが、文字どおりに絵画化され、ほほえましい情景となっています。年長者も若者も、アマチュアも専門家も、互いに謙虚に学び合おうという願いをこめて、ことわざ研究会のホームページのシンボルに選ばれました。
一見したところ現代の劇画ふうですが、原画は、じつは江戸時代中期(1720年)に刊行された『軽筆 鳥羽車』という本のなかにあります。この本では、三十余のことわざが鳥羽絵に描かれており、そのユーモア感覚は現代にも十分通じるものがあります。鳥羽絵は漫画のルーツといってもよいでしょう。なお、画家の名は特定されておりません。また、ホームページでは、原画の輪郭を生かし、色彩はおおむね同一ですが、一部アレンジしています。
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質問2
日本のことわざと関連の深い「いろはカルタ」について質問します。上方カルタと江戸カルタがあるそうですが、どちらが古いのでしょうか? また、最初に作られたのいつごろですか? 日本人は皆いろはカルタのことわざを知っているといってよいでしょうか?
いろはカルタのことわざについて、よい本があったら教えてください。(Dr. PACZOLAY Gyula, ハンガリー)
答え
PACZOLAY博士は、昨年'96 TOKYO 国際ことわざフォーラムにハンガリーから参加された研究者で、日本語や中国語など東洋の言語も解されますが、質問は英語でE-mailでいただきました。このコーナーでは、質問を要約し、答えも日本語にさせていただきます。
いろはカルタに詳しい時田昌瑞会員によると、最初に作られたのは上方いろはで、天明(1781-89)の頃のようです。ただし、その時期と特定できるカルタが残っているわけではなく、随筆などに関連した記述があり、いわば間接的な証拠があることになります。ちなみに、上方いろはの「い」は、「一寸さきは闇」や「いやいや三杯」などがあり、バリエーションが多かったようです。これに対し、「犬も歩けば棒に当たる」で始まる江戸いろは(犬棒カルタ)は、文化(1804-1808)頃に出現したものと思われ、国際ことわざフォーラムの記念品、「明治いろはかるた」は標準的な江戸いろはといえましょう。
次に、日本人がいろはカルタのことわざをみな知っているかどうかですが、中年以上の世代なら、ほとんどの人が正月に遊んだ経験があり、幼時の記憶としてかなり残っているといってよいと思います。戦前の日本人には、教育勅語とともに「いろはカルタ」が行動の規範となっていたとする鶴見俊輔氏の研究もあります。しかし、現在の子どもたちには、テレビもあればコンピュータ・ゲームもあり、いろはカルタはあまり人気がなくなりました。昔は暮れになると本屋、おもちゃ屋、デパートなどで盛んに売っていましたが、この頃は置いている所が少なくなっています。むしろ、ことわざは受験勉強のなかで学ぶことが多いのかもしれません。
最後に参考文献ですが、いろはカルタについては多くの本が書かれています。しかしほとんどのものは研究というより、いろはカルタを素材として人生観などを語る随想的なものです。カルタの起源やそのなかのことわざの解釈について一冊だけご紹介するとなると、森田誠吾『いろはかるたの本』(文春文庫)がお薦めです。森田誠吾氏は、直木賞作家で、ご存じの方も多いことでしょう。この本は手頃で、しかも本格的なものですが、あいにく品切れとのこと。ご覧になりたい方は、図書館か古本屋でお探しください。(これもハンガリーでは無理でしょうから、PACZOLAY博士には古書を探してプレゼントしたいと思っております。)
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