その他の注目している銘柄
ここでは、筆者が興味を持つ銘柄(企業)について解説を加えます。
7203 トヨタ自動車 トヨタ自動車のホームページはこちら
日本を代表する企業。好財務。株としては、国際優良銘柄の一つ。巨大な系列組織を持つ。
一次下請けには、豊田本家である豊田自動織機製作所(6201)をはじめ、愛知製鋼(5482)、豊田工機(6206)、トヨタ車体(7221)、豊田通商(8015)、アイシン精機(7259)、デンソー(6902)、豊田紡織(3116)、関東自動車工業(7223)、豊田合成(7282)がある。トヨタ自動車は、豊田市にあるが、一次下請けは、刈谷市に多い。また、日野自動車工業(7205)、ダイハツ工業(7262)もトヨタ自動車系列である。
筆者は、出向で豊田市で3ヶ月間ほど働いたことがあるが、3ヶ月間の間に、トヨタ自動車の影響の大きさを様々な面から垣間見ることができた。
そもそも、「豊田市」は、「挙母市(ころもし)」という市名であった。しかし、トヨタ自動車系市長、議員らの主張により、市名変更されたようである。この市名変更により、郵便物が豊田市に配送される度に、トヨタの宣伝がなされているようなものである。またトヨタ自動車本社は、豊田市トヨタ町1番地にある。なお、豊田紡織は刈谷市豊田町1−1にあり、ダイハツ本社はダイハツ町1−1にある。
トヨタ自動車系列の企業では、通常のカレンダーとは違う「トヨタカレンダー」なるトヨタ自動車の休日にあわせたカレンダーを使う。トヨタ自動車では、休日は出勤日であり、その分、お盆休みと年末年始の休暇が長くなっている。下請け企業は原則として、このカレンダーにあわせて、休みをとることになる。少なくとも、豊田市内では、「トヨタカレンダー」という言葉は、一般に認知されている。
また、豊田市を選挙区とする衆議院選挙の小選挙区では、自民党系でトヨタ自動車の経営陣が推す候補と民主党系でトヨタ自動車の労働組合が推す候補により選挙戦が展開されていた。
豊田にいる間に、大野耐一の「トヨタ生産方式」(トヨタの思想の基本書)から鎌田慧の「自動車絶望工場」(トヨタ自動車の季節工の悲惨な実態を暴く)まで、いくつかのトヨタ関係の本を読んだ。その中で筆者が考えたのは、トヨタ自動車という会社は、株主・経営陣にとっては利益の多い会社であり、下請け企業・労働者にとっては負担を課し、労働力を搾取する会社ということであった。これは表裏一体のことであるが、「ジャスト・イン・タイム(※1)」「かんばん方式(※2)」により、労働者は画一的な単調な仕事のみを行うことになり、また、下請け会社は、トヨタ自動車の納入要請にあわせて、必要な部品を届けることになる(「かんばん方式」は、筆者が理解したところによると、後工程の部品が足りなくなった場合、前工程に後工程が部品を取りに行くということであるはずなのだが、今は、何故か、前工程(下請け企業)が、後工程(トヨタ自動車)に部品を届けることになっている。これは、ほんとうの「かんばん方式」なのか?)。当然、それは、トヨタ自動車にとっては、非常に都合のよいことであり、利益をもたらすのである。(99.2.20)
(※1) 「ジャスト・イン・タイム」
必要な品物を、必要なときに、必要な量だけ手に入れることができれば、生産現場のムダ・ムラ・ムリをなくし、生産効率を向上させることができる。単なるイン・タイムではなく、ジャスト・イン・タイムであることが重要なポイントである。(大野耐一「トヨタ生産方式」ダイヤモンド社より抜粋)
(※2) 「かんばん」
「かんばん」とはトヨタ生産方式の第一の柱をなす「ジャスト・イン・タイム」を実現するための管理の道具である。四角のビニール袋の中に小さな紙切れを入れたものが多く使われている。その紙切れには、「なにを、どれだけ」引き取るか、また「なにを、どのようにつくるか」が示されている。後工程が前工程に、必要な品物を、必要なときに、必要な量だけを引き取りに行き、前工程はその引き取られた分だけ作って補充するのが「ジャスト・イン・タイム」生産であるが、この場合、後工程が前工程に引き取りに行く、この間を「引き取り情報」または「運搬指示情報」としてつなぐのが、「引き取りかんばん」または「運搬かんばん」という。「かんばん」の重要な役割の一つである。もう一つ、今の前工程が引き取られた分だけ作るために、生産を指示する「工程内かんばん」がある。(大野耐一「トヨタ生産方式」ダイヤモンド社より抜粋)