『 明日 』




冷めかけた湯船のような
生温かい現実の中をたゆたいながら
僕らは明日を夢想する

小さな仔猫は満腹しているか
幼子達は笑いさざめいているか
老人達は家に留まっているか

僕らは明日が与えられるのを
何もせずただ漠然と待ち続けている


灼けた浜辺の砂のような
灼熱の今日を怨嗟しながら
僕らは未来を幻想する

灰色の空は泣き出しているか
黒い井戸は涸れているか
蒼い炎は燃え続けているか

僕らは未来が失われていくのを
声も上げずにただ呆然と凝視している


零下三十度の冷凍庫の中のような
凍り付く言葉を拾い集めながら
僕らは死の顔色をかいま見る

今日の太陽は昇っているか
明日の月は満ちているか
明後日の星は降っているか

僕らは死が足音も立てずにやって来るのを
目を閉じてただ泰然と待ち受けている









ちょっと谷川俊太郎風味?(笑)
初期の作品が大好きでした。


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