攻撃テニスの勧め (初中級クラスで伸び悩んでいる方へ) 初画面へ
球技、格闘技などの対戦競技の大原則は対戦するお互いが自分側を有利に、相手側を不利にするための技術を競うことです。 つまり「相手の弱点を攻める」ことが最も正統なやり方なのです。 テニスに関して言えばこのことが実践出来ていない人が多いような気がします。 球威に自信のある方が強打で相手のミスを誘うのも一方法ですが、平均的な球威の方は自分が打ちやすい所へ強打すること(自己満足)よりも相手を苦しめることを優先しましょう。 相手を最高に苦しめるプレイだけが正しいプレイなのです。 ここでは打ちやすい球がまともに打てるにもかかわらず低いクラスで伸び悩んでいる方にお勧めしたい練習試合での「テニスの基本」を述べてみます。 この「基本に忠実なテニス」を目指してはいかがでしょうか。
テニスの基本(1〜4)
<基本その1> 相手が苦しむところへ球を打て
(1)貴方は強い球を打つことが攻撃的だと錯覚していませんか? 攻撃とは相手を苦しめる球を打つことであって、必ずしも強い球を打つことではありません。 相手が後方にいる時、後方から放つ貴方の「強い球」が相手に届いたときには一番打ちやすい球になります。 (無意味な強打はやめて効果的な強打を打ちましょう) 相手が打ちやすい所へは一球たりとも返球しない心掛けが大切です。
(2)たとえ強打であっても相手を苦しめていないラリ−戦は「ミス待ちテニス」という邪道テニスなのです。 ミス待ちテニスは格下プレ-ヤ-にしか通用しないものです。 お互いが陣形の崩し合いをやってこそスリルに満ちた面白いゲ−ムになるのです。 練習試合では失敗を恐れず相手の陣形を崩す攻撃が必要です。 相手のミスやチャンスボ−ルは待つものではなく作り出すべきものです。
(3)「相手の陣形を崩しておいて弱点に決め球を打つ」がテニスの基本です。 先手先手でオ−プンコ−ト等相手が打ちにくいところへ相手が打ちにくい球を打ちましょう。 相手を苦しめる戦略的なドロップショットやロブも使って相手を前後左右や斜めに走らせましょう。 そのためには守備で不利とされるデッドゾ−ンも有効に使ってください。 自分の位置が後すぎるとドロップショットを打ちにくいですよ。 ドロップショットは攻撃的なショットです、もっともっと活用しましょう。
(4)攻撃は単発ではなく前後左右を組み合わせて使うと効果的です。 たとえばドロップショットで相手を前へおびき出しておいて後方へロブを決める等です。 相手を走らせるために相手コ−トの四隅へ自在に球を打つ技術を身につけましょう。 そのためには打ち方を工夫してください。 相手に嫌がられるテニスを目指しましょう。 後方にいる相手に対しては、もっと前を攻めましょう。
(5)体操やフィギュアスケ−ト等と違ってテニスではいくら美しいフォ−ムでかっこよく球を打ってもポイントは増えません。 フォ−ムの採点競技ではないという事実をよく理解し、目的に合った打ち方を工夫しましょう。 かっこいいプレイや快打そのものにはなんの値打ちもありません。 価値があるのは「相手を苦しめるプレイ」だけなのです。 フォ−ムは力学的な効果だけをよく考えましょう。 自分の打つフォ−ム(形)にこだわり過ぎると「ネット掛け」や「自在性の欠如」などのマイナス面が多く現れます。 実戦では打ちやすい球が来ないことを前提に考えましょう。 フォームに縛られずにどんな球にも対応できるようにもっともっと自由自在なプレイを目指しましょう。
(6)攻めるべきところを具体的に述べると@相手のいないところ(オ−プンコ−ト)A相手のバック側B相手の二人の間C相手の足元D相手の動きの逆をつくE相手の予測外のところF相手がやっと手が届くところG相手の正面胸元などです。
★08年全英オ−プンでフェデラ−とナダルが「死闘」の名にふさわしい名勝負を演じました。 「完璧な技術を持つ」フェデラ−の調子を狂わせたのは徹底的に相手を苦しめることにこだわったナダルの執念でした。 <基本その1>の重要性を感じざるを得ません。
<基本その2> 相手に余裕を与えるな
(1)凡ミスを減らしたり、相手の状況を瞬間的に判断して最適の球を打つための決め手は「余裕」なのです。 余裕を持つためには早い準備が必要になります。 早い準備は運動神経を発達させます。
(2)初級者はゆっくり球に近づき、球ぎわであわててミスをします。 これとは逆に早く球のところへ走り、早く準備しておき、万全の体勢で余裕を持って球を打つ努力をしましょう。 このことは上達のための基礎条件です。
(3)貴方は打ちやすいという理由だけでワンバウンド後の落ち際で(低い打点で)球を打っていませんか? 低い打点だと@ネットに掛けやすいA強打するとアウトボ−ルになるB手加減すると浮いた甘い球になるC球が来るのを待つのでイレギュラ−バウンドに対応しきれないDいつも相手に余裕を与えてしまうE打点がネットから遠いF運動神経が発達しない、等と悪いことづくめなのです。 こんな悪習が貴方の上達を妨げています。
(4)グランドストロ−クでは球のバウンドの最高点またはその前に(ライジングで)打つように心掛けましょう。 (ライジングで打って)相手に余裕を与えないことは相手を不利な状況に追い込むためにとても大切なことです。 つまり自分が打ちやすいタイミングで打つことよりも、相手に余裕を与えずに(相手の準備が不十分なうちに)素早く打ちこむことが大切です。 高い打点(打点は前で)と早い返球こそ攻撃テニスの基礎条件です。 自分は高い打点で打ち、相手には低い打点で打たせましょう。
★12年のブランクと年齢のハンデを克服して復帰したクルム伊達公子選手がトッププロとして再度活躍できるのは<基本その2>の技術が十分身についているからでしょうね。
<基本その3> 相手に予測させるな
(1)ワンパタ−ンの平均的なプレイをしていると次の行動を相手に予測されて守りを堅められたり、攻め込まれたりします。 色々なパターンのプレイを使い分けると相手は的を絞れず対応しにくくなります。 読み合いとだまし合いこそが面白いゲ−ムの条件なのです。
(2)フォ−ムやクセで自分の次の行動を読まれないようにしましょう。 ここが貴方流フォ−ムの工夫のしどころです、常に相手に自分のプレイを予測させないようにしましょう。 普通のプレイを予測させておいて予測外のプレイをしましょう。
(3)予測外プレイの例として、意表をつくドロップショットを打ちましょう。 また相手のサ−ブに対して時々ドロップリタ−ンをしてみましょう。 失敗を恐れず何回でも挑戦し打ってみることが上達につながります。 ドロップショットがうまい方は相手の守備位置が深い時には時々1stサ−ブでドロップサ−ブ(ネット際へのゆるいサ−ブ)をオーバ−ハンドで速い動作で打ってみましょう、ドロップショットと同じ効果が期待できます。 但し打つ瞬間まで相手にはフラットサ−ブだと思わせましょう。 以上の3種類のドロップは強打や深い球と混ぜて使うようにしてください。 ドロップショットは相手の陣形を崩してからオープンコートに打つと決めやすいです。
<基本その4> 凡ミスはするな
(1)ミスが多い試合は味方だけでなく相手方にとっても面白くありません。 試合にミスはつきものですが少しの注意で防げるミスが案外多いのです。 凡ミスが多い人は意識のレベルが低い人です。 凡ミス放置は上達への大きな障害です。 ただし攻撃的、積極的なプレイの中でのミスは凡ミスではありませんので気にすることはありません。
(2)チャンスボ−ルの打ち損じは得点になるべきものが失点になるという上下差が大きいという意味で最も罪深いことです。 このミスを防ぐ意識が大切です。 早い準備による「余裕」でミスを防ぎましょう。
(3)「ネット掛け」は悪いミスの代表格です。 やさしい球を何度もネットに掛ける人はネット掛け(=自滅)の馬鹿らしさが本当に判っていないのです。 ネットぎりぎりを狙って強打したり、自分の打つフォ−ムにこだわり過ぎる悪習を直さなければミスは減らないでしょう。 練習では直りません。 これは技術の問題ではなく意識の問題だからです。 ネットの高さを常に意識して高い打点で球を打ちましょう。 対戦競技で自滅するということは相手と戦う以前に自分が負けているということです。
<練習方法の基本> 打ちやすい球を打つな
(1)低いクラスで伸び悩んでいるベテランプレイヤ−の基礎練習は上達に役立っていないことを自覚してください。 「伸び悩み」は練習方法にその原因があったのです。 その原因とはお互いが打ちやすい球ばかりを打っているからです。 これは球筋が安定しない初心者用の練習であって、ベテランがすべき「練習」ではありません。 「打ちやすい球」は単に「手慣らし」にすぎず時間をかけるべきではありません。
(2)ベテランにとって練習のための練習は役立たないばかりではなく上達の障害になっているケ−スが多いのです。 お互いが打ちやすい球を相手の打ちやすいところへばかり打っていると、テニスで一番大切な「相手を苦しめる技術」が身につかないからです。 「マンネリ基礎練習はすればする程下手になる」と覚えておきましょう。 (練習はいつも目的意識を持って課題克服に努めましょう) どんなクラスのプレイヤ−にとっても試合で必要とする技術は「相手を攻撃する技術」、「相手の攻撃に耐える技術」、「難しい球をミスせずに打つ技術」であって、「打ちやすい球を打つ技術」ではありません。
(3)プロのようにかっこよく強いストロ−クを打ち合っている「練習」をよく見かけますがラリ−を続けるということは相手を攻撃していないということです。 激しい応酬のように見えても実態は打ちやすい球なのです。 目的意識を持って練習しない限りこのような「練習」は上達に役立つとは限りません。 なぜなら当人達が既に持っている技術を披露しているに過ぎないからです。
(4)ベテラン(テニス歴2年以上)の方は是非打ちにくい球の練習をしましょう。 打ちにくい球とは試合中と同様の生きた球です。 試合中は相手が自分の弱点を狙って強い球やクセ球を打ち込んできます。 走らされたり時間的に余裕がない苦しい状況下で相手を攻めなければなりません。 試合に必要な技術とセンスは打ちやすい球の「練習」では身に付かないのです。 実戦に必要な技術を身に付けるには「テニスの基本」を意識し、お互いが攻め合う練習が有効です。
(5)攻め合う練習とはコ−トの半面を使ってお互いが攻め合う練習です。 試合と同様、色々なショットを使って相手の弱点を攻めましょう。 半面の場合は比較的攻めにくく守りやすいので疲れにくく好都合です。 コ−トの巾は狭いので左右に揺さぶるよりも前後に揺さぶるほうが攻撃効果は大きく、ドロップショットの練習になります。
(6)練習試合では(後衛の)守備位置はデッドゾ−ンにしましょう。 そこでは打ちにくい球を数多く経験できてライジング打法に慣れることができます。
(7)一般的なセオリ−はプロテニスから生まれたものが多く、初中級者の条件に合わないものもあるので、セオリ−はあまり気にせずに相手を苦しめるという基本を最も大切に考えて、練習試合の中で工夫(と失敗)を重ねながら攻撃的なプレイを試してください。 攻撃的な意識が貴方の上達を早めるでしょう。 コントロ−ルをよくするには体の全ての関節を柔らかく使うとよいでしょう。
(8)上達のためにテニススク−ルに通う方も多いですが、生徒の目的は「上達」ですが、スク−ルの一番の目的は「生徒に長く通ってもらうこと」です。 この違いをよく理解した上で「スク−ルのペ−スに乗せられる」のではなく、自分の上達につながる技術的な助言を積極的に受けるなど、自分が「スク−ルを利用して上達する」という気持ちが大切です。 スク−ルは目標と期限を決めて通うほうがよいでしょう。
<本格派テニスは難しい>-----------------------------------
「本格派テニス」は威力のある「強打ストロ−ク」と「コントロ−ル」の両立を目指すやり方です。 しかし凡人にとっては「強打」と「コントロ−ル」は相反する要素です。 それをうまく両立できるのは「上級者」というごく一部の人に限られます。 練習時間不足の一般大衆には難しすぎるのです。 指導者は「本格派テニス」が基本だとして受講者に教えます。 しかし、「スピ−ド」も「コントロ−ル」も中途半端に終って伸び悩む人が多いのです。 「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言います。 習った打ち方がきちんと身についていない場合はその打ち方が逆に伸び悩みの原因になるでしょう。 特別な素質と練習時間に恵まれない平均的な人は強打重視の(振りきる)打ち方からコントロ−ル重視の打ち方に変えない限り上記の「4つの基本」に忠実なテニスが実現しにくいでしょう。 コントロ−ルできる範囲内で強打しましょう。 相手を最も苦しめるのに適した打ち方が正しい打ち方です。 「平均的な試合」はサ−ブで始まり、お互いがクロスラリ−をしながらチャンスを見つけて攻め込むという展開が一般的ですが、これは威力のある強打ストロ−クを前提として成り立つ話です。 さほど強打でもない初中級クラスの試合ではこのやり方は消極的すぎます。 クロスラリ−は無意味なので第一球目から攻撃を仕掛けることを常に考えておきましょう。 上級選手を目指す方や本格派テニスが合っている方が「本格派テニス」を続けるのはよいことですが、低いクラスで伸び悩んでいるベテランの方は中途半端にいつまでも「本格派テニスのマネごと」をするのはやめましょう。 それよりも「基本に忠実なテニス」=「コントロ−ル重視の攻撃テニス」を目指すことをお勧めします。
<ドロップショットは難しくない>-------------------------------
ドロップショットは一般的に球の打ち方が最も難しいとされています。 しかしそれは本当でしょうか? 私はそうでもないと思います。 ほとんどの人が数回失敗しただけで難しいと決めつけて、打つことをあきらめ、実戦の中で使わなくなっているからです。 たまに打つ場合でも、前の方で決め球ショットとして打つケ−スがほとんどです。 前の方で打つならドロップショットを使わなくてもスマッシュ等で決めることもできます。 ドロップショットの攻撃的価値を生かすには後方からでも打てることが大切です。 後方には常に球が来るのでいつでも打つチャンスがあるからです。 ドロップショットは球出しで練習するのではなく実戦の中で身に付けることをお勧めします。 私はドロップショットを大衆テニスにおける重要ショットだと位置づけています。 それは相手を苦しめ、相手コートを自由自在に攻めるために必要不可欠なショットだからです。 相手が後方にいるにもかかわらず前を攻めることができないのは攻撃技術の欠陥と言うべきでしょう。 前を攻めることは後を攻めることに直結します。 球の威力がすごいプロの試合でさえもドロップショットを打っているのだから、大衆テニスの試合でドロップショットが打てないはずがありません。 ドロップショットの技術を身に付けるには、失敗を気にせず実戦の中で数多く打つことです。
<「イチロ-流」のテニスを目指せ>---------------------------
初中級クラスのテニスで「ミス待ちテニス」が平均的プレイになる理由としては、日常「相手コ−トへ力強い球を打つ」ことを目標に練習しているからでしょう。 このような人は相手がいるところへストロ−クを打つことが当たり前になってしまい、「相手を苦しめる球を打つ」というテニスの基本を忘れてしまうのです。 きっと指導者から「力強い球はテニスの基礎だ」と言われ続けてきたのでしょう。 しかし「力強い球を打つこと」だけにこだわり過ぎるとフォームが硬直化して臨機応変に自在なショットが打てなくなるというマイナス面も理解する必要があります。 試合中は力強い球を打てる状況ばかりではないという前提に立った実戦的な練習を十分するべきです。 格上の相手を苦しめるための練習こそ本当に価値のある練習です。 このことは野球で話をすると分かりやすいでしょう。 一流投手は打者が打ちにくいところを狙って速球や変化球を投げてきます。 これに対し打者が「自分の打ちたいフォーム」で「フルスイング」をしてもバットの芯にうまく当たらなかったり野手の正面に飛んでヒットになりにくいのです。 バッティングマシンと一流投手(実戦)は本質的に違うものです。 一流投手が相手の場合は「会心の当たり」(=自己満足)だけを求めるのではなく、相手投手の球に合ったバッティングをして「野手の間を抜くこと」(=相手を苦しめること)を第一の目標にすべきです。 イチロ−選手のような打撃技術をテニスに置き換えて考えましょう。
おことわり
@ 「攻撃テニスの勧め」は私が考えている「テニスの基本」に沿って、経験の割に伸び悩んでいる初中級クラスのプレイヤ−やパワ−に欠ける女性が上達し試合に強くなるための要点を記述しています。 皆さんの意識改革の参考になれば幸いです。 本格派テニスに向いている方やこの考え方に同意できない方は無視してください。
A「攻撃テニスの勧め」は練習試合での攻撃的なプレイや冒険的なプレイを勧めています、それは「上達」のためです。 しかし大事な試合ではこの通りのプレイがすぐに良い結果を生むとは限りません。 より確実なプレイをするために、自分の技術力に見合ったプレイをお勧めします。
Bここで述べた初中級クラスというのは初級と中級のクラスという意味ではなく、初級と中級の中間に位置するクラスという意味です。 以上
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